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(60) 夜の翻訳機
2007 / 01 / 03 ( Wed ) ![]() 上司のMさんは負けず嫌いな人である。中国人との女の子とのコミュニケーションでは俺が先行したが、これが気に入らないのである。いろいろ話を聞いてくるので、俺が翻訳機を買った話などもしていたのだが、今回彼は秘密兵器を持ってきていた。高級電子翻訳機である。成田空港で買ったそうだ。3万くらいしたらしい。 この翻訳機、完全に夜の翻訳機として特化しているものだった。対応言語は中国語をはじめとした東南アジア諸国の言語。欧米はあまり眼中にない。 しかも、文例がイケてる。「君の瞳が綺麗だ」といった文章がいきなり出てくるのである。少なくとも俺は、今までの人生の中でこんな言葉を言ったこともなければ、他の人がマジで言っているのを聞いたこともない。 一般的に考えれば例文としては極めて不適切だが、日本から東南アジアに行くエロオヤジのニーズに完璧にフィットした翻訳機だった。成田空港もえらいものを売っているものだ。 でも、コミュニケーションは道具で解決できるものではないのだ。案の定、翻訳機で思うような言葉が出てこなくて苦戦している。女の子が書いた言葉を翻訳しようとしているようだ。 「これ、何て言っているかわかる?」 といってメモを見せる。 「俺たち二人が一緒に中国に来たのかって言ってるんですよ、あと、Mさんの歳も聞かれてますよ」 「すごいなーさすが夜の帝王、全部わかるんだ」 夜の帝王でなくてもわかる。漢字を手がかりに意味を類推すればいいのだ。中国語独特の言い回しもあるけど、全くわからないってことはないはずだ。 「翻訳機に頼ってちゃ駄目ですよ」 と声をかけて席に戻る。 俺の方とはと言えば、まぁ、いつもの調子だった。姓名から年齢、出身地、学生か否かなどを聞いてゆく。苗字は張さん、21歳で河北省出身だ。 「你是学生吗?」 「大学生」 おー、初めての高学歴ちゃんだ。 |
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