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4-77.すれ違い
2008 / 08 / 09 ( Sat )
4-77

久しぶりの彼女の部屋。
扉を開けたら中にいたのはタオル一枚で身体を包んだだけの彼女だった。

やる気満々じゃないかと逸る俺。彼女はシャワーブースに戻って扉を閉める。俺は荷物をいつもの様に窓際に置き、干してある洗濯物をかき分けて空いているハンガーを探して上着をかけた。

身体を拭いた彼女は下着を着け始めている。

なんだよもう。どうせすぐ脱ぐんだから着けなくていいのに。

などと思いながら自分の荷物を解く。彼女は支度を終えると、俺の方に振り向いて手を広げた。吸い込まれるように近づいて久しぶりの抱擁。細く締まった腰に手を回すと、彼女の全てを掌の内に取り戻したような気がする。ベッドの方に寄せようと少し体重を移動するが、彼女はまっすぐ立ったままだ。

微妙なせめぎ合いを繰り返しながら1分ほど抱擁が続く、そして身体を離すと彼女は言った。

「Where shall we go? 早くしないと日が暮れちゃうわ」

おいおい、外に行くのかよ。

がっくりする俺。
行き先を問われているが当然ながらノーアイデアだ。
そんなことになるとは完全に想定外だった。

言葉に詰まる俺を見て、彼女が言う。

「じゃ、映画を見ましょうよ」

映画かよ。話すらできないじゃないか。と思ったが代案も見つからない。一旦会えば感じられるものがあるだろうと思ってはいたものの、会って何かを仕掛けようという意図はあまり持ち合わせていなかった。受身で動く形になっていただけの俺は、何か違うと思いながらも彼女の動きに振り回されるしかなかった。



例によって新天地の映画館。待っている間、彼女がiPodを取り出して耳にかけた。あなたも聞く?とばかりにイヤホンの半分を俺に渡す。それを受け取りながら彼女に聞く。

「iPod買ったんだ」
「ううん、貰ったの。お父さんに」

また新しいものを買い与えられたわけだ。以前、CDウォークマンを買って来いと言われて断ったのを思い出した。またおねだりしたんだろうな。で、俺以外の男がそれを聞いたわけだ。

少し無口になりながらイヤホンを受け取る。選曲をするのを一緒に見ると日本語の歌も入っているようだ。曲を選びながら彼女が言う。

「仕事が忙しいって本当だったの?他に彼女でもできたんじゃないかと思ってたわ」

それは俺の台詞だよ、と思うけれども言葉が出ない。

少し遅れて「そんなことないよ」と生気のない声で答えた。
そういう逡巡が彼女に間違ったメッセージを与えていることは想像がついたが、どうすることもできなかった。


4-77b





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