FC2ブログ
スポンサーサイト
-- / -- / -- ( -- )
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-- : -- : -- | スポンサー広告 | page top↑
4-73.車中会話
2008 / 08 / 09 ( Sat )
4-73

寝ている彼女に別れを告げ、立ち上がって靴を履き、外に出る。扉を開けるときの大きなきしみ音が人気のない廊下に響く。彼女の寝ているベッドに名残惜しく視線を送りながら、また大きなきしみ音を立ててオートロックの扉を閉めた。

まだ朝早いので人影が少なく、車も通らない。5分ほどしてようやく1台を見つけたが、先のほうで別の人に拾われてしまった。しばらくしてまた空車を見つけたので手を上げるが今度は乗車拒否。格好を見れば長距離乗りそうな雰囲気のはずだけど、ホテルの前につけるタクシーと違って、この辺りを流すタクシーは外人慣れしてなくて面倒に思うのかもしれなかった。

ふと振り返ると後ろの建物の入り口で体格の良い男がぼんやりとこちらを見ている。近所の人なんだろうけど何だか嫌な感じだ。スーツ姿でキャスター鞄を持つ俺の格好はこういう住宅街では浮いている。俺のことを不審に思って睨んでいるのかな。

と、その時、男が不意に俺の後ろを指差した。つられて振り返るとタクシーが信号待ちをしている。ラッキー。タクシーに駆け寄ってどんどんと窓を叩く、運転手と目が合ったのを見て後部座席のドアを開ける。カバンを放り込んでから後ろを振り返り、先ほどの男にお礼のつもりで手を振ると、男は無反応のまま建物の中に戻っていった。

4-73c

扉を閉めて運転手に「浦東机場」と言う。走り出しながら何だかごちゃごちゃ言っている。どうも上海に空港が二つあるけど浦東でいいのか、と聞いているようだ。

「不是虹橋。我要去浦東机場」 と答えると
「好的」

とようやく納得した様子。で、また話をしてくる。ジェスチャーからして今度は道順を説明しているようだ。頷いて見せると。また質問。ジー点てな言葉が聞き取れたので「9点」。それなら大丈夫、間に合うよ、といった様子でようやく会話が終った。

時々こういう人懐っこい運転手に当たる。でも俺は相変わらず語彙は少ないので今みたいな会話でほぼ限界なのだった。

高速道路を走ってると運転手がまた話しかけてくる。左前を指差すので見てみると、リニアが早回しのようなスピードで走り去るところだった。運転手が自慢げな笑みを浮かべながら何事かを聞く。大方乗ったことあるかどうか聞いてるんだろう。

“乗ったことある”と言いたいけど何て言ったらいいかわからない。面倒臭くなって。「没有」とだけ答えると、運転手は勝ち誇ったような声を上げた。

ちくしょう、本当は乗ったのに。


4-73b



13 : 51 : 22 | 筆談小姐4 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
<<4-72.最後の接吻 | ホーム | 4-74.デジャヴ>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://pami2.blog77.fc2.com/tb.php/307-1273dd38
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。