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4-40.一见如故
2008 / 07 / 01 ( Tue )
4-40

夕食を終えて店を出る。旨かったが手間のかかる料理だった。彼女の方が上手だったが、やはり効率は落ちるので、いつもの量は食べれていない。何か物足りなさそうに視線が彷徨う。別のレストランに入ろうとするのを俺が必死に止める。はしごは嫌だよ。

すると彼女は道端のパン屋を見つけて、パンを沢山買い込んだ。部屋で食べるんだそうだ。でも、タクシーがホテルの前に来た頃、不意に彼女が声を上げた。

「あ、そうだ。昨日行った店があったじゃない」

その店というのはホテルの前の深夜営業のレストランだ。ホテルの前に止めたタクシーからホテルに入らず道路を渡って店に入る。昨日と同じウエイトレスが俺たちに気づいて気安く近寄ってくる。

彼女はレストランのウエイトレスなんかを手なづけるのが上手い。これは中国人の特性というより個人的な問題なのかもしれない。注文をしながらちょこちょこ会話を始め、しばらくするとすっかり仲良くなってしまう。

今回もいつものパターンだ。昨日十分関係を作っているせいか、昔からの馴染みみたいな顔で注文をしている。ウエイトレスは凄く若い。まだ中学生か高校生くらいか、明らかに未成年でまだ少女然としている。その小姐に注文を一通り出すと、彼女はさて、とばかりに紙袋を開け、先ほど買ったパンを食べ始めた。

持ち込みじゃんか、駄目だよそういうことしちゃ。と注意するが

「いいじゃないの、注文はちゃんとしてるんだから、文句言われる筋合いじゃないわ」

と全然気にしていない。なんて傍若無人なやつなんだ。

そして料理が一通り運ばれてくる。最後に小姐がおわんを一つ持ってくる。しばらく何かを話した後でそれを受け取る彼女。

「どうしたの?」
「なんだか注文間違えてこれになっちゃったみたい」

見ると細い麺の入ったスープだ。

「断ったらいいじゃない。注文してないんでしょ」というと、
「いいわよ、あの娘が悪いわけじゃないし」

と麺を啜る。

「ちょっと伸びてない?」
「うん」

彼女は頷くが文句を言わずに食べ続ける。

優しいじゃないか。自分勝手なようでも、自分が親しくした人にはちゃんと気をつかうんだ。そういえば昨日電車で一緒だった大姐の悪口を俺が言ったときも彼女は同調せずかばっていた。

なるほどね。結構中国人もいいとこあるじゃんか、と俺はちょっと見直した。

暖かく見つめる俺の視線に気が付いて彼女が顔を上げる。
にっこり笑って、

「ね、ちょっと食べてみない?」

しまった、見るんじゃなかった。



4-40b



一见如故(yījiànrúgù):会ったその日から旧友同然。


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