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4-31.観光案内
2008 / 07 / 01 ( Tue )
4-31

ボックスシートの片側に彼女と並んで座る。座面はやわらかく、座り心地は悪くない。やがて列車が走り出す。心なしか日本のよりも揺れが少ない。線路の幅が広いからかな。

彼女は「ただ箱の中に座って揺られてゆくだけよ」なんて言っていたけど、そんなもんじゃない。箱の中は濃ゆいのだ。何しろ中は中国人で一杯。ほとんど満席なのである。

前の席に先ほどの大姐が腰掛けている。彼女にそっと聞くと、その大姐は蘇州出身なんだそうだ。上海で働いているんだけど、今日は実家に帰るらしい。なるほど、だからいろいろ話を聞こうとしているわけだ。

女二人でずっと話をしている。声はでかい。ふと気が付くと周囲の席の客が皆こっちを見ている。席に座っていてもすることがないので皆退屈しているんだろう。大声で話す小姐と大姐はいい退屈しのぎになっているに違いなかった。

車両の通路を小汚いおじさんが大声で何かを叫びながら歩いてくる。蘇州の観光地図とか記念品なんかを売っているようだ。俺たちの席のところまで来ると、通路側に座っている彼女の鼻先に観光案内を突きつけて売り込む。

彼女は顔をしかめて煩そうに追い払ったが、気が変わったらしく、再びおじさんを呼びとめ、1冊の地図を購入した。そして地図を広げてまた大姐と話し込む。もう大変な作戦会議だ。周囲の乗客は興味深そうにそれを見つめている。俺も興味深そうに見ていると、視線に気づいた彼女が振り返ってささやいた。

「彼女すっごくいいわ。いろんなことを教えてくれるの」
「どんなこと?」
「まずホテルね。予約してたホテルよりもずっと良いのがあるみたい。だから予約をキャンセルするわ」

おいおい、キャンセルが先かよ。
紹介されたところが満室だったらどうするんだよ。

止める間もなく携帯電話をとりだして電話を始める。俺の存在に気づいた大姐が彼女に何事か話しかける。呼び出し音を聞きながら彼女が何事か答え、こっちに視線を向けて、目配せした。
“何かしゃべりなさいよ”といったジェスチャーだ。

っておい、何話せばいいんだよ。中国語だろ??

彼女は電話の相手が出たらしくそのまま通話に入ってしまう。
おいおい、ここで放置かよ!

文句を言いたかったがどうにもならない。仕方なく俺は、満面の笑みを浮かべて大姐に一言

「ニーハオ」

大姐がまた何か言うけど、わからないので曖昧な笑顔。

あーあ、
アタマの足りない人みたいだよ俺は。



4-31b


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