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3-80.二者択一
2008 / 04 / 16 ( Wed )
3-80

別れ話がもつれたやり取り。最後に彼女が激高して威勢良く啖呵を切った。しかし、その決め台詞で噛んでしまった。サノバビッチと罵ろうとしてサノバビーチと書いてきた。

サン(息子)とビーチ(海岸)から最初はサーファーかと思った。

あるいはウミガメか。
海岸に産み付けられた卵からかえったウミガメの雛が一斉に海を目指して進んでゆく姿はまさに「サン・オブ・ビーチ(海岸の息子)」に相応しい。

もう、いじりだしたら止まらない。言い間違いにしてもなかなかナイスな言い間違いだ。しかもそんなナイスなネタがこの緊迫した状況下で飛び出てくるとは。

改めて説明するが、彼女は英語をハリウッド映画を見て覚えたのだ。その後、英語学校に行ってはいるが、基本的に耳から覚えた英会話が大半なので、スペルのミスが結構多い。学校でも指摘はされてるようで、だから彼女は通訳(interpreter)を目指して翻訳者(translator)は目指していないのだと言っていた。

さて、ここで俺には二つの選択肢があった。

A:
ここで喧嘩を続ける。彼女の言い間違いを攻め、俺からも罵詈雑言を浴びせる。これは今の瞬間はもの凄くスッキリするけれども、多分これで関係はお終いになってしまうだろう。

B:
ここは冷静に矛を収めて関係を修復する。金の話で時々不愉快な思いはするかもしれないが、それを埋め合わせて余りある面白いネタが手に入る可能性がある。何しろ彼女は以前、ロンリー(Lonely)をロングリー(Longly)と書いていたのだ。「貴方に会えなくて長くなっちゃったの」とか書いてくるもんだから乳首でも伸びたのかと思ってたらロンリーの間違いだった。多分これからもネタには事欠かないだろう。

本来はAの選択肢を選ぼうとしていたが、サノバビーチという言葉を賜って、俄然B.の選択肢が現実味を帯びてきた。金を出す代わりにネタを得るという考え方、これはちょっと画期的だ。しかもここで特筆すべきなのは、彼女には何の負担もない点だ。彼女は金が貰えてハッピー、俺はネタが入ってハッピー。いわゆるWIN-WINってやつですか。

時刻は既に明け方4時半になろうとしている。
寝ぼけアタマの俺は、こんな馬鹿な論理でしばらくの間本気で悩んだ。しかし結局、俺は選択肢Aを選んだのだった。それだけではない。ここ数週間に渡る延々とした言い争いでかなり不満が鬱積していたこともあったんだろう。今にして思えば馬鹿なことだが、傷口に塩を塗るようなメッセージを10分後に送信したのだ。

「サノバビーチじゃなくてサノバビッチだろう。ビッチって自分のことだろ、そんなの間違えてどうするんだ。もっと英語勉強しろよ」

5分後に届いた彼女の返信は、それはそれは凄い言葉のオンパレードだった。これまでの関係が粉々に砕けるようなその返信の後、静寂が訪れた。

クリスマスが過ぎ、正月になっても、彼女からSMSが来ることはなかった。


(第三部おわり)



3-80b


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