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3-77.比較事例
2008 / 04 / 16 ( Wed )
3-77

着いた場所は人民広場のすぐ脇にあるワインバーだった。洋館の様な作りの2階建てで、置くの方にワインの瓶が置かれているのが見える。店員は西洋人。彼女が英語で話しはじめたので英語での会話だ。相変わらず店員の薦める席に座らず、自分勝手に席を交渉する彼女の後ろで俺は大人しげだ。中国語じゃないので多少は喋れるはずなんだけれども、モノホンの西洋人と英語で喋るのは何となく気恥ずかしい。

薄暗い店内で俺はバーボンを頼み、彼女はカクテルを頼んだ。
一段落するとまた同じ話の繰り返し。ただ、店内が静かなので怒鳴り合いにはならない。ややテンションは押さえ気味に、でも十分に感情的な議論が続く。

彼女は俺がいつも金のことばかり言うと非難する。自分は金のことなんか気にしてないのに、あなたは金の話ばかり。

いやいやちょっと待て。大体あげてる側と貰っている側じゃぁ全然違う。俺だって貰う側だったら金のことなんか気にしない。相手の好意を嬉しく思うだけで気楽なもんだ。でも、こっちは払う側なのだ。しかも、日本から出張を調整してこちらまで苦労してやってきてるのだ。以前はホテル代だって自腹で払ってた。大変な出費がかかっているのだ。金の話をして当然だろう。

それはあなたの心が狭いからよ。と彼女はさらにもう一段攻めてくる。

何てことを言いやがる。ここまで怒らなかっただけでも十分心が広いだろう。そう言い返そうとすると、彼女は先ほど話をした友人の結婚式のことを話し出した。その友人は彼女と同じKTV小姐だったのだ。

お相手はアメリカ人男性。KTVの客として知り合い、そしてつき合って結婚に至ったのだそうだ。彼らが初めて出会ったのは半年前というから、俺たちが出会った時期とあまり変わらない。

まじかよ。そんな奴がいるとは思わなかった。しかも俺と同じタイミングで同時進行でそんなことをしていたとは。

なんて迷惑な奴なんだ。

思ったけど口には出せない。彼女はさらに主張を続ける。
同じKTVの客なのに、一方は相手を大切にしてこのたびめでたくゴールインする。一方あなたときたら、金のことで恩着せがましくごちゃごちゃ文句を言うばかり。
本当に人間が小さいわ。

どうだと言わんばかりの眼で俺を見る。決定的な証拠を盾に弁論する弁護士の様だ。実際これは強力な論理だ。何しろ比較事例という事実に裏打ちされているのだ。

でも、俺は負けたくなかった。もう何が正しいというより、目の前の生意気な中国娘に屈服したくない。しかし彼女の論理は完璧だ。絶体絶命となってしまった俺は、一瞬逡巡し、ついに搾り出すような声でこう答えた。

「他人は他人、俺は俺だ」

追い詰められて超論理の世界に飛躍した俺。
勝利を確信していた彼女は目を丸くした。



3-77b


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