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3-67.取り込み中
2008 / 04 / 16 ( Wed )
3-67

恐る恐るの上海出張。上海支社での仕事中にSMSを送ると彼女は普通に返事をくれた。システムの問題がなくなったせいか、あるいは会いに来たという事実が良い印象を与えたのかもしれない。

金曜の仕事を終えて安宿にチェックイン。初めて泊まるホテルだけど思ったより悪くない。荷物をほどきながらSMSで連絡をとり、彼女のマンションまで歩いてゆく。

マンションの部屋で俺を迎えた彼女はカバンを持っていない俺を見て驚いていた。仕事やら何やらがあるので今回はホテルをとったんだと下手な言い訳をする。不審気に話を聞いていた彼女だが、最後には納得して笑顔に戻った。

そのまま本題には入らずに雑談をし、やがて夕食を食べに行こうと言うことになった。マンションを出て前の通りでタクシーを拾う。止まったタクシーの扉を開けて彼女を先に入れ、俺が後から入る。中で彼女が俺を見て言った。

「さて、どこに行く?」

おいおい、乗ってから聞くなよそんなこと。いつもそう指摘するんだけどお構いなしだ。苛立つ運転手を適当になだめて時間稼ぎしながら、

「前は洋食だったら今回は中華がいいかしら」

なんて言っている。俺はもう気が気じゃないけど、彼女はお構いなしだ。
そして運転手の怒りが爆発する寸前に、行き先を指示した。

無計画な割りには妙なところで空気を読む力が強いのだ。
怒るタイミングを外した運転手は、やや荒っぽい運転で車を操り、目的地に向かう。彼女はいたずらっぽい目をして俺の方を見ると、シートに置いた手をにぎってきた。運転手には悪いが、彼女の機嫌は悪くなさそうだ。

しばらく走ると彼女の携帯が鳴る。

中国語で話しているので相変わらず分からないが意外な人だったらしい。挨拶のような口調の後、近況でも話をし合っているのだろうか、会話がはずんでいる。俺は黙って外の景色を見ている。昔はこういうことはなかったが、最近増えた。ずうっと一緒に居るので仕方ない。俺もなれっこになっていた。

しかし今回は様子が少し違った。途中から彼女がだんだん早口になる。何か不満を訴えているような口調だ。

「どうしてわかってくれないの?」

というような口調に聞こえる。声が泣き声になってきたので驚いて振り返ると、彼女の眼から大粒の涙がこぼれ落ちるところだった。また間が悪いことにタクシーは目的地のそばについたようだ。

運転手がどの辺にとめればいいんだというようにバックミラー越しにこちらを見る。彼女が電話中なので俺の方に視線が来たが、俺はそもそも行き先を知らない。中国語も喋れない。困った表情をしてみせて彼女を指さす。でも、彼女は明らかに取り込み中だ。

姐さんすみません、俺たちは一体どうしたらいいんでしょう?

言葉を一言も交わさないまま、運転手と俺との間に奇妙な連帯感が生まれた

3-67b





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