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3-20.ツンデレ
2008 / 02 / 24 ( Sun ) 外灘の東岸に並んだベンチの上、彼女の唇を奪うことに成功した俺。ここは一気呵成に攻める時だ。時刻はもう夜の11時過ぎ。気は熟している。 「そろそろ移動しない?俺の部屋までおいでよ」と誘うが、「それは嫌」と拒否する彼女。「今夜は朝までここにいるの」と言い出す始末だ。そんな無茶な。 夜の上海は蚊が多い。俺はジーンズだから気にならないが、彼女の露出した足は蚊の格好の標的のようだ。無茶苦茶刺されている。時々苛立たしげに声をあげ、足を揺する様枯らしても、相当つらいんじゃないかと想像できる。「蚊に刺されてかゆいでしょ、もう部屋に戻った方が良いよ」と誘うも「いーや!」と拒否の姿勢を続ける彼女。 いつしか河岸の店も営業を終わり、どんどん周囲が暗くなる。あれほど沢山いたアベックも一組また一組と去って行き、代わりにホームレスがベンチを陣取り始めた。夜中の2時になってようやく彼女は眠気に負け、「今日はもう帰る」といい始めた。いずれにしても、今回は駄目そうだ。 仕方なく二人で手をつないでベンチ立ち、もと来た道を戻ってゆく。公園の出口にはタクシーが沢山待機しており、俺たちはその中の一台を選んで乗り込んだ。 彼女を先にしてタクシーに乗り込む。彼女が席の中央から奥に入っていかないので必然的にべったりくっついた形になる。タクシーの運転手はなにやら指示をして、彼女は再び俺に身体をもたせて眼をつむった。 しばらく走ってから、彼女は不意に眼を開けて辺りを見回した。そして急に運転手に向かった怒鳴り始めた。どうやら遠回りしようとしていたらしい。それを見つけるや否や彼女は運転手を強烈に攻撃しはじめたのだ。一通りやり込めた後、暫く間をおいて、まだ怒りがさめやらぬらしくさらに小言を重ねる。彼女の張りのある大声が車内にこだまする。運転手はすっかり怯えきって、彼女の言葉に頷くだけだ。 ひとしきり運転手を締め上げると、彼女は満足げに再び俺の胸にアタマをもたせかけてきた。 今風に言うとツンデレって言うんですかこれは。しかし、ツンの部分が異様に強烈なんですけど。虎に馴付かれたムツゴロウ博士のような気分だ。こういうのと結婚したら120%尻に敷かれるんだろうなぁ、と思った。 タクシーは彼女の家を目指して一目散に走っていた |
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