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2-67.仕切り直し
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH67

さて、ホテルに戻った俺は今後の身の振り方を考えた。

仕事の都合で滞在が伸びたが、明日の夜からすることがない。今日はYと遊んでサウナなんか行ったりしたが連日誘うのもまぁアレなので、新規開拓はあきらめなきゃならない。
ところが今までも持ち駒といっても、日式小姐はとてもじゃないが掘り下げる気になれない。

となると、選択肢は一つしかない。
先日、店に行って肩透かしをくらった上海小姐に再挑戦だ。

既に夜も遅いので、とりあえずメールを打つことにした。
実は前回の事件の後、お詫びのメールを貰っていたのだ。
お詫びされてもなぁ、多分うそだろうしと思って返事もせず放っておいたのだが、今回は遅ればせながらそれへの返信だ。

当日中は返事がなく、翌朝10時頃、支社で仕事をしていたら返事のメールが届いた。OKの返事だ。OKどころか、再び連絡がとれたことを喜ぶ文面だった。
早速、今日の昼を一緒に食べることにした。

昼過ぎにタクシーで彼女の学校のそばまで。
現れた彼女が再度前回のことを詫びるのを聞きながら、隣のショッピングモール2階にあるレストランに入った。

前回と同様、昼間はごく普通の女の子の食事だった。
1食分全てを食べられなくて苦戦している。

「残せばいいのに」
「駄目よ。食べ物を粗末にしてはいけないわ」

と子供を諭すような口調で言う。
あれだけ大食いしといてよく言うよ。
実際、この小姐は前回、日本料理店でカンボジアの子供が1ヶ月は生活できるかと思うほどの量をたいらげたのだ。
しかし、語学力のない悲しさで、その指摘を口に出すことができない。
忸怩たる思いのまま、

「それなら俺が食べてやる」

と言って残った半人前のカレーを平らげた。

彼女の食べ残しを胃に流し込みながら、ふと思いついて彼女に尋ねる。

「外国人でも携帯電話って加入できるの?」
「プリペイド携帯を買えば問題ないわ」
「いくらくらい?」
「1000RMBくらいじゃないの」
「なるほど、食事の後で、買いに行くのに付き合ってもらえない」
「いいわよ」

という感じで交渉成立。

上海の携帯ショップに行くのは初めてだ。




02 : 57 : 11 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-68.携帯電話
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH68

ショッピングモールを出て、2軒隣の店に入る。
さすが上海、あまり歩かずにいろいろなものが手に入るというわけだ。

入ったのは電器店。というか秋葉原のラジオ会館みたいな感じだ。建物の中で沢山の小さい店がブースを構えている。1階はパソコンショップ、2階に上がると携帯電話ショップだった。
狭苦しい店内には、平日の昼間なのに結構客が多い。ブースごとに取り扱いメーカーが異なるようだ。

「どこのメーカーのが好み?」
「海外メーカーのがいいなあぁ」

言いながら辺りを見回す。ノキアの看板が目に入った。

「あの店にしよう」

2人で店の前に立ち、ショーケースの中を覗き込むと、すぐに店員が目の前にやってくる。
正直、安ければ何でも良いので彼女に
「一番安い奴を出してって頼んでくれる?」
とお願いする。

店員が出してきたのはスティック型の小さい携帯電話だった。
かなり簡素でいい感じだが、色がパステルカラーなのが気に入らない。
「他の色はないのかなぁ」
と聞くと、黒いのが出てきた。これならまぁ良さそうだ。
「I like it」
彼女も意見を述べる。

じゃ、これで決定。

次に、SIMカードを購入する。
いくつかの電話番号の候補から選ぶわけだ。

「覚えやすい番号にした方が良いわよ」

彼女が言う。何だか保護者みたいだ。
俺は言葉ができないだけで、携帯電話買ったことは何度もあるんだけどな。だいたい使う相手が限られているから覚えにくい番号であってもあまり困らないのだ。
とはいうものの、助言には配慮して候補の中から数字の規則性が多い番号を選ぶ。

後は店員がセッティングしてくれる。
プリペイドで最初に入っているのは100RMB分でそれを使い切るとまた補充しなくてはならない。100RMBでどの程度喋れるのかと思ったら通話で1時間弱になるらしい。
まぁ、それならこの滞在期間中では十分だ。

買い物を終えて近くのスターバックスに入って使い方を研究。
彼女が試しにSMSを送ってくれた。苦労しながら返信を返す。表示が中国語なのでなれるまで大変だ。それでも何とか最低限の使用方法を覚えた。

中国だと、そのままでは国際電話をかけられない携帯が多いのだが、彼女も例外ではなかった。でもこれで、電話もかけてもらえるし、SMSのやり取りもできる。
金額は全部込みで750RMB。最初は日本の携帯に比べて高いこともあって買おうとも思っていなかったが、いろいろ現地の人々との交流が増えてくると、やはりあった方が便利だ。

そんなこんなで携帯電話を片手に、ややウキウキしながら支社に戻った俺だった。


02 : 58 : 13 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-69.行先指示
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH69

昼休みを彼女と一緒に過ごし、ついでに携帯電話を買って帰ってきた俺。

午後はそのまま支社で普通に仕事をして、ホテルへと向かう。
行き先はRegal hotel。前にも言ったとおり、上海にRegal Hotelは二つあるが、Regal International East Asia Hotelの方だ。

富豪东亚酒店(Regal Shanghai East Asia Hotel)
富豪环球东亚酒店(Regal International East Asia Hotel)

中国語の発音は調べてはいたものの、こんな長い名称をちゃんと伝える自信がないので、メモに書いて見せることにした。
そして夕方になって支社を出て、階下に降りる。
タクシーに乗ってメモを見せるとわかった、わかった、という風に運転手がうなづく。やはり紙に書くのが一番確実だ。

タクシーが角を曲がるごとに、頭の中の地図で現在位置を確認する。のべ滞在期間はそんなに長くないはずだが、いろいろ遊び歩いたお陰でおおまかな土地勘ができつつあった。

車は徐家匯路を進んでゆく。曲がらない。このまま真っ直ぐ行くと上海体育館に行ってしまう。
別のホテルと間違えているんじゃないかと思った。

信号で止まった時に運転手にメモを見せて念を押すが。わかってる、と返事するだけ。しばらく様子を見た方が良さそうだ。

予想通り、運転手は勘違いしていた。
タクシーは上海体育館の前まで至り、敷地内に入ろうとして止まった。その運転手の方を叩き、俺は地図を片手に言う。

我要去这里」(俺はここに行きたいんだ)

そう言って、地図上のホテルの場所を指してボールペンで○を書く。そして、今居る上海体育館を指して、

不是这里」(ここじゃないよ)

しばらく地図を見ていた運転手が「あ~」と声を上げた。
ようやく理解してくれたようだ。

やれやれ。




02 : 59 : 07 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-70.携帯活躍
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH70

我要去这里」(俺はここに行きたいんだ)
地図を片手に主張する俺を運転手は訝しげに俺を見、地図をとって眺めた。そして「あ~」と声を上げた。ようやく理解したようだ。

そして車をターンさせ、大通りに戻った。
しかしこのホテル、場所が分かりにくいらしい。いつまで経ってもタクシーが着かない。ぐるぐる回るのだがホテルを見つけられないのだ。
さんざん走り回った挙句、最後には本部に無線で道を聞く始末。
1時間近くかかってようやくホテルに着いたが、メーターは40RMBにもなっていた。

運転手は20RMBで言いと言うのでそれだけを支払う。領収書を貰うのでいくらでも良いと言えば良いのだが、運転手の誠意は受けておきたい。「謝謝」と言って車を降りた。

ホテルにチェックインして部屋に入る。
今日は仕事が残っているので部屋で資料を作らなければならない。他のメンバーは働いているはずなので、メールをチェックしなければ。
PCを荷物から出してLANにつなぐが接続が確立できない。
フロントに電話してクレーム。係員が直しに来るそうだ。

腹が減ったのでルームサービスを頼んで係員を待つ。システム担当らしき人間が来てPCをいじって、これで大丈夫でしょう、と言って出て行ったが、しばらくしたらまた回線が不通になった。
またフロントにクレーム。係員が来てくれたが、今晩はどうにもならないようだ。
仕方ない。ネット接続なしで仕事を続ける。

夜9時過ぎ、携帯電話が鳴った。日本から持ち込んだ国際携帯電話ではなく、現地の携帯電話だ。見るとSMSを受信している。彼女からだった。
今日は店に出ている筈だ。一体何の用だろう。

携帯を見ると、彼女のSMSは状況が変わったことを告げていた。
今日の予約客がキャンセルになって仕事がなくなってしまったので、早退を申し出たところ許可されたということなのだ。

そう、じゃ、飯でも食べようか。

俺は返信を打った。




03 : 00 : 31 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-71.綱引き
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH71a

彼女からSMSが来て、会おうという話になったものの、時刻は既に夜9時過ぎ。明日は帰国なので時間が十分あるとは言い難い。

効率的に進めるために、ホテルの方に来てくれとSMSを打った。あわせてホテル名と最寄駅も知らせる。このホテルは彼女の店からはそれほど遠くはない。しかも近隣にはバーが並ぶ通りがあり、店を探すのには苦労しないだろう。彼女からOKの返事。近くに来たらまた連絡するとのことだった。

ところが、いつまで待っても連絡が来ない。店からここまでタクシーに乗れば10分程度で到着するはずだ。店を出るまでの身支度に時間がかかるとはいっても限度がある。何があったんだろうか?メッセージを打って様子を探るが返事がない。時刻はもう9時40分を回っている。最後にSMSを受け取ってから30分も経過しているのだ。

さらに5分くらい経って携帯電話が鳴る。見ると彼女からのSMSが着信していた。携帯電話の電池が切れてしまったので家に替えの電池を取りに帰っていた、とのこと。家はホテルとの反対方向で、今からホテルに行くと遅くなってしまうので、中間地点である新天地で落ち合わないか、との話だった。

嘘くさいなぁ。。。携帯の電池が切れそうなら、最初にメッセージを送る時に気づきそうなもんだ。しかも、替えの電池というのがまた怪しい。仕事で携帯を頻繁に使う人ならまだしも、普通の個人が携帯の電池の予備を持っているなんてことがあるのかなぁ。

さらに、彼女の家からこのホテルはそう遠くはないはずなのだ。先日の夕食の時に家の場所を聞いたのだが、彼女の家は上海ダウンタウンの南側。少なくとも、待ち合わせ場所である新天地はここのホテルに来るのとそう距離が違うとも思えない。

新天地に行くくらいならあまり距離は変わらないんじゃないの?と返信を打ってみるが、”タクシーの運転手にホテルへの行き方を聞いたの。新天地の方が近いわよ”と取り合って貰えない。

もしかしたら、○○飯店での反省から、ホテルの傍に来ること自体が危険だと感じたのかもしれない。俺にしてみれば明日の仕事があるので、あまり夜中に遠くまで出歩きたくないのだが、このまま押し問答を続けても時間が無駄だ。時刻はもう夜10時を回っている。

駄目だこりゃ。
仕方がないのでOKと返信を打った。

SH71b

03 : 02 : 32 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
2-72.深夜の食事
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH72a

ホテルからタクシーを拾って新天地に車を走らせる。地図で見ると結構距離があるように見えるのだが、15分くらいで到着した。夜で車が空いていたこともあるが、上海の中心部はやはりかなり狭いのだ。

新天地のスターバックスのところで、オープンカフェ風に置いてあるイスに陣取り、しばらく彼女の到着を待つ。もう夜も遅いので、人の流れは帰る方向に動きつつある。

さらに15分くらいしてようやく彼女が到着した。
時刻はもう11時前だ。

二人で新天地の中に入って店を探すが、ラストオーダーが近いとか言われたりしてどうも落ち着ける店がない。仕方ないので新天地を出て、近くの台湾料理屋に入った。

彼女が入り口にいる店員に閉店時刻を聞く。午前4時までやっているそうだ。そんな夜中にこってりした中華を食べる奴がいるのかどうかよくわからないけど、今の俺たちにとってはありがたい話だ。

店内に入ると、店内の店員が「歓迎光臨」と声を揃える。いらっしゃいませ、という意味だ。何だか日本のチェーンレストランのようなノリだ。

席につくと彼女はメニューを要求する。飲み物の方じゃなくって食べ物の方のページを開いて選んでいる。

「あれ、食事するの?」

と聞くと

「少しお腹が空いたの」

とのたまった。

そうですか、食べるんですか。
彼女の巨食癖を思い出して俺はたじろいだ。


SH72b




03 : 03 : 49 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-73.なぞの記事
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH73a

10年以上前、中国はまだまだ不思議な国だった。

全国紙の三面の片隅に、中国で起こった珍妙な事件がベタ記事で掲載されることもしばしばだった。中国と日本との経済的なつながりが大きくなり、また、中国自身も大きく発展を遂げつつある現在では、記事の内容もそれなりに掘り下げたものが多くなったが、当時はまだ、ネタ的な記事も数多く見られた。下記はそんな一例。



中国の生物学者調査、なぞの生物は粘菌の複合体。
1992/11/04, 日本経済新聞 朝刊

 【北京3日共同】今年九月に中国・陜西省の渭河でゼリー状の正体不明の生物が発見され、生物学者の研究の結果、大きな粘菌の複合体であることが分かった。しかし発見された後に転売されて見せ物にされているため、貴重な生物をきちんと育成すべきだとする声が強まっている。
 最新の週刊紙「中国減災報」によると、この生物は長さ七十五センチ、重さ三十五キロのナマコ型のもので、西安市の西北大学で一部を切りとって調査したところ、呼吸し新陳代謝や増殖能力がある粘菌の一種と分かった。
 タンパク質の含有率は五三・一%で、試食してみたところ生ではバラのような香りがし、焼けば肉のような歯ざわりで食用にできることが判明。専門家は貴重なタンパク資源として保護を訴えている。
 同様の生物は一九四七年に米国のダラスで発見されたことがあるが、今回のものよりずっと小さく、専門家は貴重な発見だとしている。しかし現物は発見者から農民が六千元(約十四万円)で買い取り、一万元(約二十四万円)で個人業者に転売。業者は「怪物」と銘打って水槽に入れて見せ物にしており、保存状態は良くないという。



もし、日本ツッコミ大学というものがあったとしたら、その入試問題にぴったりの記事だと思う。ツッコミどころ満載で、何遍読んでも見飽きない。

詳しく味わうのは次回で。

SH73b




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2-74.食のDNA
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH74a

前回紹介した記事に関するツッコミどころ。

1.
「なぞの生物が見つかる」という事件自体、他の国ではあまりこういう事件が記事にならないのにどうして中国だとこうなんだ。同じ時期に「角の生えた人間が見つかった」なんて記事もあった。

2.
正体不明の生物がいきなり見世物にされている。この登場の仕方がいい。昔の香港B級映画っぽいというか、いい味出している。

3.
研究者がいきなり試食している。何気なく書かれてるけど普通有り得ないでしょう。謎の生物の謎を解明するのが仕事だろう。どういう種類の生き物なのかが分かったら、次は、どうしてそんなに大きくなったのとか。他にやること沢山があるだろうに、どうしていきなり食べちゃうんだ。

4.
しかも生だけじゃなく焼いた時の味まで報告されている。だいたい、誰が調理をしろと言ったのだ。そもそもどこで調理したんだ。まさか研究室に厨房があって、そこで研究者が中華なべをふるって料理をしたんじゃあるまいな。

5.
貴重なタンパク源とは言うものの、そういう問題じゃないだろう。そもそも見つかったのは一例だけ、突然変異である可能性が高いのだ。この説明は後付けに違いない。きっと彼の国では「変な生き物見つけてさぁ」「へぇ、で、それって食えるの?」というのが最初のリアクションなのに違いない。そして、煮て食うか焼いて食うかで大いに盛り上がるのだきっと。

6.
農民が何気にいい商売している。この農民は、発見者から6千元で買い取って見世物業者に1万元で転売している。粗利4割だ。結構良い商売してるじゃないか。自分が見つけたわけでもないくせに。目端が利くとはこのことだ。

7.
“保存状態は良くないという”とありますが、水槽に入れられているのは確かにそうだけど、それだけじゃなくって、どこかの研究者が一部を切り取って食べちゃったからねぇ。そもそも貴重な生き物として育成すべきなんだったら、食べちゃったら駄目でしょう。歯ざわりが肉のようだったなんて報告を記事に書いてないで、まず叱れよ、研究者を。

まぁ、全体を通して思うのはやはり、中国人の食へのこだわりである。

話を体験談に戻す。
俺が上海で知り合った小姐は巨食癖がある娘だった。とにかく異常に喰う。そして、この日も台湾料理店に入った彼女は、時刻が夜11時を回ろうとしているにも関わらず、メニューから食べ物を選び始めたのだった。そんな彼女を見ながら、俺は随分昔に読んだこの記事のことを思い出したのだった。

SH74b




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2-75.長期戦
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH75a

中国で購入した携帯電話のSMSを使って連絡を取り合い、店を早退してきた彼女と落ち合った。時刻は夜中の11時過ぎ。二人で入った台湾料理の店で、この時間だから喫茶の利用かと思いきや、彼女はメニューから食べ物を選び始めた。既に夕食を食べた俺は、彼女の大食癖を思い出してたじろいだ。

「せっかくだから、私の郷土の料理を紹介してあげるわ」

と彼女が言う。明らかにこれから頼むのが1品でないことが前提になっている。しかも、それを俺にも食べろというのだ。彼女と食事をしていて何がつらいと言って、大量に注文された食事に俺までもつき合わされるのだ。俺もたいがい大食いな方だけれども、ちょっと常軌を逸している。しかも今晩は俺は夕食を食べた後なのである。

最初に運ばれてきたのはシャーベット。大皿に山盛りだ。どう見ても3~4人で食べる代物だ。しばらくすると、もう一皿、シャーベットが運ばれてきた。味付けが違うらしい。序盤からもう憂鬱な気分になってくる。

「これ全部喰ったらお腹が冷えるんじゃないの」

と言ったら、次に運ばれてきたのは肉の温料理だった。そんなこんなでテーブルが見る間に一杯になる。テーブルに乗り切らない皿は隣のテーブルに置かれている。全部で4~5皿は来ただろうか。

彼女はコーラを注文した。まだ飲むのかよ。水分はシャーベットで十分じゃないのか。と思いながらも俺も、ビールを注文。もうこうなったら理屈でどうこう考えても駄目だ、本能をむき出しにして食べていくしかない。

食べながら普段の食事はどうしているか、なんて話になる。日本で昼は弁当(lunchbox)が多いよなんて話をしながら、

「そういえばlunchboxって中国語で何というの?」

と聞いてみる。彼女はペンを受け取るとこう書いた。

「便当」

おいおい、ちょっと字が違うんじゃないか?便はまずいだろ。

「It shows different meanings. You produce it in the restroom」
(それって意味が違うだろ。便というのはトイレで出すもんだぜ)

彼女は笑いながらこう答えた

「No, it means “convenience”」

あ、「便利」の便か、なるほどね。そう考えると日本の「弁当」は当て字っぽいよな。

しかし、飯を食いながら何ちゅう会話してんだ俺たちは。
ま、先は長いんだから、会話くらいは何でもアリでいかなくっちゃね。

SH75b




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2-76.食事は続く
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH76a

こんなに大食いな彼女なのだが、大食いの人にありがちな話で、決して太っているわけではない。
ジーンズ姿の服の上から見る身体のラインは、むしろ細めで引き締まっている印象だ。

「太らないわよ」

と彼女が言う

「だって、昼はほとんど食べないんだもの。1日一食、Big dinnerを食べるだけだもの」

でも実はそれって一番太るパターンだ。一番やっちゃいけないことを続けているのに、どうしてこんな体型が維持できるんだろう?

「日本の相撲取りがどういう食生活してるか知ってるか?1日1食、ちゃんこをたらふく食べるんだ。腹を減らしてから食べた方が吸収が良いから効率的に太れるんだってさ」

俺が反論するが、彼女は聞く耳を持たない。英語が十分通じてないかもしれない。

「1日1食だから太るわけないわ」

と繰り返した。今はまだ若いから大丈夫かもしれないが、この調子で食べ続けていったら、ある年齢まで来た段階で爆発的に太り出すんじゃないかなぁ。

そういえば、味の話を全然していなかった。味つけは全体的に甘い。シャーベットもアイスクリームと混ざったような甘みがかった感じだし、温料理もやや甘いたれ系の味だ。ちなみに、この店は彼女の出身地の福建省の料理に近いらしい。夏はスチームオーブンのように暑いそうなので、塩辛い料理が多いのかと思ったけど、意外にも甘党なのだった。

食べ物の話が煮詰まってきたので、中国語の話に切り替える。英語を喋れる中国人の良いところは、中国語についての解説をして貰えるってことだ。まずは最初の質問。よく中国人が“ネィガー”って言ってるけど、あれってどういう意味なんだと聞いてみたら、”well”と書いてよこした。日本語風に言うと「えーと」って意味らしい。なんだぁ。頻繁に出てくるのでキーワードかと思ってたけど、それじゃ使えない。

次の質問に移る。 “好的”ってどういう意味?と聞くと、彼女はしばらく考えて“fine”と応えた。
じゃぁ“好了”は?
“fine”と彼女がまた答える。

「どこが違うの?」
「一緒よ」
「えー、じゃぁどうやって使い分けてるの」
「さぁ、何となく」

分かったような分からないような頼りない解説を受けながら、横目で食べ物の皿を見る。まだまだ食べ物は沢山ある。

多少減った様に見えたが、シャーベットが溶けただけだと気づいてげんなりした。

SH76b




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2-77.善意の解釈
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH77a

平日の夜半すぎ、台湾料理屋で山盛りの料理を食べながら中国人の小姐に中国語の講義を受ける。3,4人前はあろうかと思われる料理は、1時間食べ続けているのに減った気がしない。大量の食事を食べながらの中国語講義はまだまだ続く。何しろ食事の量が多いので、時間はたっぷりあるのだ。

「じゃぁ右折ってどう言うか知ってる?」
「小拐(シャオクアイ)だろ」
「じゃぁ左折は」
「大拐(ダークアイ)。右側通行で左折だと大回りになるからだよな」

これは直前に中国在住の人のブログを読んで覚えた言葉だ。北京語じゃなくって上海方言らしいけれども、この街で使う分には問題ない。まだ使ったことなかったが、彼女が理解したので発音はそんなに悪くなさそうだ。と思ってたら彼女に修正された。

「クアイじゃなくてグアイよ。guaiだから」

ピンインを使って説明してくれる。北京で世話になった小姐と違って、この娘もピンインは間違えない。明らかに学歴で差がついているように思えるんだけど、大学でピンイン教えてるってことはないよなぁ。

「中国語習ってたの?」
「大学で半年だけやったけど、後は北京の出張中に覚えたんだ」

俺の答えに彼女は目を丸くして驚いた。

「どうしてそんなに覚えられるの?」
「人との出会いを大切にして、ちゃんと会話しようとしてたら自然に覚えたんだ」

と、いつもの冗談のつもりで返したら、彼女は関心したように俺のことを見つめてこう言った。

「そう、そういう人間性って素晴らしいと思うわ」

やや心が痛んだが、正直に事情を説明するわけにはいかなかった。


SH77b




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2-78.語学学習
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH78a

11時頃から始めた深夜の会食。3-4人前の食事を死にそうになりながら午前1時くらいまでかかって平らげた。

そろそろ一段落したと思って勘定を頼む。
「マイダン」

とウエイトレスに声をかけると彼女が伝票を持ってくる。ポケットから札を出しながら、
「給我ファーピャオ」

と言う。そんな俺のことを見て彼女がまた驚嘆の声を上げる。
「すごいわ、完璧じゃないの」

いやぁ、お恥ずかしい。どこで覚えたかは言えませんけど。

ウエイトレスが持ってきた領収書をポケットにしまっていると、彼女が意を決した様に言った。
「英語の通訳の資格をとったら、次に日本語を習うことにするわ。そしたらあなたともっといろいろな会話ができるわね」

いや~、ありがた迷惑だよそれは。

日本語喋れちゃうと俺的には魅力がガタ落ちなんだよな。俺が楽しいのは使いなれない言葉を覚えながら小姐とコミュニケーションしてゆくことなのだ。俺とうまくやっていきたいんだったら、この変態性をちゃんと理解してくれなきゃ困る。

そこで俺はやんわりと彼女を軌道修正しようと試みた。
「俺が日本語教えてあげるから、中国語教えてよ」

当然ながら俺は彼女が上手くなるおうには教えないつもりだ。で、彼女の助けを借りて中国語を上達させる。これぞ理想だ。
うまくまとめたつもりだったが、彼女はこう答えた。

「それはいいアイデアね。でも、あなたはまず英語に集中した方がいいわ」

悪かったなちくしょうめ。どうせ俺の英語はクソだよ。


SH78b




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2-79.脈あり
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH79a

请再光临」の声に送られながら店を出る。夜中の2時も近いというのに、外は結構人が歩いている。ネオンの数は減っているものの、北京の夜のように闇につつまれてひっそりしているという風情でもない。明らかに街は活動しているのだ。

ほどなく、俺は正面から来る人影にぎょっとした。警察官だ。こんな夜中に外国人が歩いていて職務質問されないだろうか、そのまま変な嫌疑をかけられて留置場に入れられたらどうしよう。日本人の同僚は全員日本に帰ってしまった。トラブルから抜け出すにも、日本語でちゃんと話ができる相手がいないのだ。内心どきどきしながら、警察官とすれ違う。しかし、彼らは俺たちには何の興味も示さず、そのまま向こうに歩いていった。あっけないほど問題なしだった。

タクシーがいると思われた角には1台もいなかった。さすがに夜も遅いのだ。しょうがないので二人で路上を通るタクシーを待つ。少し会話が途切れがちになる。彼女の雰囲気が少し変わったことに思い当たってふと、「送っていこうか?」と聞いてみる。彼女は嬉しそうに頷いた。

タクシーが来るので彼女を先に後部座席に乗り込む。彼女が行き先を告げ、車が走り始めると、背筋を伸ばして座った彼女がこちらを向いて「I feel cold」と言って右手を出した。

吸い寄せられるように手を握る。両手で彼女の手の感触を確かめる。そういえば、手を握ったのはKTVで初めて会った時以来だ。個人的に誘ったときは一切、そのようなコンタクトを許さなかったのだ。

しかし、これはそうとう脈ありなんじゃないか?彼女の家に上がり込めるかもしれない。この展開なら美人局ということもないだろう。ゴム持ってないけど、ここは立ち止まるわけにはいかないだろう。俺はこの後の展開を想像し、肚を決めた。

タクシーが止まると胸が高まる。彼女が最初に降りて外に立つ、息子は既に立ってて、最後に俺が立ち上がろうとしたら、彼女が身を屈めて「Good night」と言って俺の首にキスをした。

まじかよ~、これで終わりかぁ。堅すぎるぜ姐さん。

結局、俺は手を握ってもらって妄想と股間を膨らませてただけかよ。これじゃイカ臭い高校生並みじゃねぇか。

俺はがっくりしながらホテルに戻った。

SH79b




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2-80.再見上海
2007 / 04 / 18 ( Wed )
SH80

翌朝は日本に帰る日だ。北京、上海と続いてきた一連の仕事も一段落だ。この後しばらくは中国に来ることもないだろう。

朝、起きてシャワーを浴びて部屋に戻ると、彼女からSMSが入っていた。夜の仕事をしながら昼は学校に通う彼女は、朝8時にはもう起きている。

そのまま彼女とSMSで話をしながらホテルをチェックアウトし、空港行きのタクシーに乗り込む。空港に着いてチェックインを済ませ、セキュリティゲートを越えて一段落したところで今までのお礼がてら、彼女に最後の電話をかけた。

思えばいろいろな体験をすることができた。上海ではちょっと遊びが過ぎたきらいもあるけれども、この娘と出会えたことは良かった。
でも結局、この娘とは何も無かったのだ。ちょっと信じられない。結局、手を握っただけだ。そもそもこの娘は俺のことをどう思ってるんだろう。別に商売でというわけでもなく好意を持ってくれているような確信はあるのだが、それにしても淡白すぎはしまいか。

俺は思わずそのことについて彼女に問いただした。彼女はそれには答えず、こう返してきた

「中国人は西洋人とは違うの。時間をかけて人を好きになってゆくものなの」
「でも今は近代化されて、変わってきてるんじゃないの」
「確かにそういう人もいるわ。でも私はTraditionalな人間なの」
「俺は出張で中国に来る人間だからさ、ゆっくり時間をかけていられないんだ」
「Traditional way にはその良さがあるわ。あなたもきっと分かるはずよ」

またその論法か。最初会った頃にも聞いたが、何だか理解できるようなはぐらかされているような感じだ。

「まぁそれはわかる、でも、、、」
「わかってくれる?そうでしょう、きっとそう言ってくれると思っていたわ」
「あの、ちょっと」
「同じ東洋人なんだから分かるわよね。だって、、、」
「Wait,wait! Please let me talk!」(待て待て!俺に喋らせろよ)

彼女は英語が堪能である。俺よりも何倍も早口だ。はっきり言って手数で打ち負けている。英語がもっと上達しない限り、この論戦には勝てそうにない。
しかしだねぇ。そもそも中国のTraditional way ってそんなに堅いんだっけか、そんなんでよく人口12億にまで増やせたものだ。

「今度はいつ来るの?」
「今度は数ヶ月先かもしれないなぁ」
「そう、また会えるのを楽しみにしているわ」

結局、何となく言いくるめられたような感じで、でも、まんざら悪い気もせず電話を切る。気がつくともう搭乗の最終案内だ。慌てて搭乗口に急ぎ、日本向けのボーイングに飛び乗った。

再見上海。また来ます。
今度こそ。。。(笑)



(おしまい)




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