FC2ブログ
スポンサーサイト
-- / -- / -- ( -- )
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-- : -- : -- | スポンサー広告 | page top↑
2-1.機内混乱
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH01

北京での仕事を終えた俺は、そのまま次の上海まで行くことになった。北京支社の中国人が手配してくれたチケットを片手にタクシーで北京首都空港へ。いつもは国際線カウンターだが、今回は国内線だ。

国内線は雰囲気がかなり中国色が強かった。当たり前だが、客層のほとんどが中国人。チェックインカウンターでも言葉がうまく通じない。何とかチェックインを済ませ、荷物を預けて搭乗口に。30分ほどしてアナウンスがあり、搭乗開始になった。

飛行機の中に入ると、中は大騒ぎになっていた。乗客が手に荷物を沢山抱えて乗り込んでくる。その手荷物の量が尋常じゃない。何故みんな預けないんだろう。乗客たちは、両手一杯の荷物を荷物入れに入れてゆく。席はまだ半分くらいしか埋まっていないのに、荷物入れは既に一杯だ。それでも、次から次へと乗客が、それぞれ荷物をかかえながら乗り込んでくる。

荷物入れがほぼ一杯だと見るや、先に入れてある荷物を勝手に動かして隙間をつくる。で、そこに自分の荷物。多少狭くてもぎゅうぎゅうと荷物を押し込んでしまう。人によっては、あちらの棚に少し、こちらの棚に少しといった感じで分散して入れている人もいる。客席の奴らも世話焼きばかりで、こうした方が良いんじゃないかと我先に口出しをする。こんな調子で皆わいわい話しながらやっているのだ。互いに知り合いでもないだろうに、妙な連帯感が生まれているようだ。

通路側の席に座って見物モードだった俺に話しかけてくる人がいた。どうやら席を替わってくれと言っているらしい。手には額縁のような巨大なものを持っている。一つ窓側に席を移ると、その男は俺が座っていたシートに腰を下ろした。額縁は通路に置いたまま、自分の席の方に立てかけて上に手を乗せている。本人的にはこれでOKらしい。でも、そりゃまずいだろおい。

機内の喧騒を全く気にしていない様子のフライトアテンダントだったが、さすがにこれは注意しにきた。そりゃそうだよな。バスに乗ってるんじゃないんだから。

隣の男が「怒られちまったよ」というような感じでなれなれしく俺に話しかける。俺もたいがい中国語には慣れたが世間話をするレベルまでは到底いかない。仕方なく、「中国語しゃべれないんだよ」というジェスチャーをしてみせた。


03 : 17 : 23 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-2.やられた
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH02

機内が大混乱なので、この調子だと相当離陸が遅れるんじゃないかと思ったが、意外に時間はかからず、定刻から10分ほど遅れただけで飛行機は飛び立った。

程なく着いたのは上海の虹口(hóng kǒu)空港。上海の西側にある、国内線の空港だ。

空港に着いて荷物の受け取りカウンターへ。国内線なのでイミグレーションなどもなくてスムースだ。当たり前なんだけど、最近飛行機といったら国際線ばかりだったので何だか変な気分だ。しばらく待っているとベルトコンベアが動き出して荷物が流れてきた。ほどなく見覚えのあるカバンが流れてきた。でもちょっと違和感がある。何だろう。

とりあえず手を伸ばしてカバンを取る。荷物の番号をは確かに俺のものだ。でも、何か変な気がするのは何故だろう。はっと気がついた。カバンの外ポケットがぺしゃんこになってる。チャックを開けると、ポケットの中はがらんとしていた。

畜生め、やられたっ!

少し青ざめながらポケット中を覗き込む。うかつにも、携帯電話を入れっぱなしにしていたのだ。こいつを盗られたらおおごとだ。しかし幸いにして、携帯電話はがらんとしたポケットの一番奥に残っていた。日本の携帯電話会社のロゴが入っているので、使えないとわかって残したのかもしれない。

でもそうなると、何を盗られたことになるんだ?他に入っていたものといえば、付箋、消しゴム、クリップ、耳かき、爪切り。小物ばかりだ。こんなものを盗ってどうするつもりなんだろう?

そんなに貧しいのか?
っつーか、いくら貧しくっても付箋はいらんだろ。

被害者の俺が言うのも何だけど、携帯電話をそのまま鉄くずとして売った方が儲かるんじゃないのか?

不思議な話だが、それを楽しむ気にはなれない。物を盗られていい気はしない。しかしあえて事件として騒ぎ立てるほどのものでもない。やや憤慨しながらも、そのまま通関ゲートを越えて空港の外へと歩を進めた。



03 : 18 : 41 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-3.発音相違
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH03

空港でいきなり小物を盗まれたことに気づき、やや落ち込みながらも荷物を引き、空港の外へ。暖かく湿った空気が馴れ馴れしく俺を包み込む。人の物を盗んでおきながらその馴れ馴れしい雰囲気は何だと、やや八つ当たり気味に頭の中でぼやきつつ、タクシー乗り場へ。しかし、同じ中国なのに北京と随分雰囲気が違うもんだ。

中国のホテルというのは国際チェーンでも中国語式の呼び名があるところが多い。シェラトンやシャングリラはそのままだけど、グランドハイアットは「君悦」だし、北京のスイスホテルは「澳港中心」(香港・マカオセンター)と呼ばれている。スイスホテルという呼び名もあるけど、スイスが中国式の発音で「ルイシー」になるので、結局スイスホテルと言っても通じない。

今回の上海のホテルはリッツカールドンなのだが、ガイドブックから写した中国語表記をどう読んでもリッツと読めない。こりゃ駄目だと思って、筆談用のメモ帳に書いて運転手に見せることにした。後で聞いたら、ポートマンと呼ばれてるんだそうだ。ビルの設計をしたおっさんの名前なんだそうだ。

タクシー乗り場まで来ると、係員が
「チュイナリヤ」
と聞いてくる。去哪里qù nǎliはわかるが、「ヤ」ってつけたっけ?とか思いながら、行き先の紙を見せる。荷物をトランクに載せてバックシートへ、運転手に
请往这里走 qǐng wǎng zhèli zǒu(チンワンジューリーゾウ)」
と告げながらメモ帳を見せると
「ああ?」
と聞き返された。行き先はメモ帳に書いてあるので、見ればわかるはずだ。彼が聞き返したのは、俺の言葉に対してだった。

発音が違う。

北京で聞かれる中国語と上海の中国語は違うのだった。概ね一緒なんだけど、訛りがある。俺の拙い中国語も、北京ではそれなりに通じてはいたんだけれども、上海ローカルの運転手には違和感があったらしい。

やれやれ、また発音はやり直しかよ。



03 : 19 : 58 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-4.まじかよ
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH04

タクシーに乗って上海市内に入ってゆく。市内の様子も北京とは随分と違う。第一に道路が狭い。北京の道路はやたら車線が多く、1ブロックの間隔も長いんだけれども、上海はそれと比較すると随分小じんまりとしている。なんだか東京と似ている。高速道路が高架で走ってるところなんてまさに同じだ。

道端のネオンも多い。しかも、日本語の看板がやたら目につく。「クラブ●●」とカタカナで書かれたネオンが見える。現地の言語に触れることが好きな「言語フェチ」の私としては面白くない。はるばる飛行機に乗ってやってきたのにそりゃないだろう。がっかりだ。

ホテルに着いてタクシーを降りる。代金を払うとお釣りで硬貨が来た。1元硬貨なんて初めて見た。北京では1元は紙幣だったぞ。ちくしょう、モダンじゃねぇか。

なんだかお上りさんのようになりながら「給我发票」といって領収書を請求。一応領収書はくれるけれども、何だかぎこちない。今ひとつちゃんと言葉が通じてる感じがしないのだ。やれやれと思いながらホテルに入り、チェックインを済ませた。荷物を解いてから、先にこちらに来ている上司Hに電話をかけた。

今回の仕事、実は上司が二人いる。MとHだ。二人とも部長なんだけど、管轄する業務が若干違う。普通はこんなことにはならないんだけど、今回はちょっと異例なのだ。ちなみにこの二人、ギャラは同じだがキャラが全然違う。臨月のようにお腹の突き出たMと痩せぎすで慎重が180cmもあるH。享楽主義者なMとストイックなHという感じ。まったく、ブログに書きたくなるくらい良い組み合わせだ。

ちなみに北京初日の夜にはHも同行していたのだが、彼だけ仕事があるからとKTVツアーに行かなかった。当然ながら仕事の進め方も全然違う。ウインドウズとマックを使って仕事をしてるようなもんだから、下っ端の俺たちは苦労が耐えない。昔はMacでExcelを使うと地縛霊でも取り憑いてるんじゃないかと思うくらい遅かったらしいけれど、それに似た感じだ。って、例えがわかりにくいか。

さて、とにかく、今回の仕事。北京にMが行くのと同時並行で上海にはH部長が来ていたというわけだ。上司Hの携帯に電話してホテルの1Fで落ち合う。コーヒーを飲みながら互いの仕事を報告。仕事の話が一段落したところで、Hさんがおもむろに口を開いた。

「さて、今晩はどうしましょうか」
「はぁ??」

俺は我が耳を疑った。



03 : 21 : 08 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-5.婉曲表現
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH05

今回の出張で、上司のMさんに大分北京の夜を連れまわされたが、ある意味、Mさんはそういう遊びが違和感がない人だった。そういう遊びが好きそう、ということではなくて、負けず嫌いで何にでも首を突っ込むタイプの人なのだ。

海外旅行のオプションで、ダイビングとゴルフとをどちら選びますかと聞かれて、午前中にゴルフして午後にダイビングを入れるような人だ。来たボールは全部打ち返すというか、山があったらとりあえず登るというタイプ。だから、中国でそういう遊びがあると知った瞬間から、徹底的に店を研究してトライする、というのは容易に予想できたし、誰もが違和感を感じなかった。

一方、もう一人の上司Hさん。彼は全く違うタイプの人間だ。とりあえず反応する、というんじゃなくて、自分なりの世界観というか、ルールを持っていてそれを徹底的に守る人だ。仕事振りもそれが現れていて、物凄く整理された仕事運びをする。ある意味、潔癖症というか神経質な雰囲気すら感じることもある。自分専用の小さいホウキを持っていて、それで机の上を黙々と掃除してたりする。そうしている時のHさんはやや近寄り難いものすら感じるのだ。

多分Hさんと一緒にしゃぶしゃぶを食べたら、Hさんがアクを綺麗にとってくれるのでとても美味しいしゃぶしゃぶが食べられるんじゃないかと思う。そんなHさんは、Mさんの先導で北京で一緒にそういう店に行ったりしたけど、引っ張られて仕方なくという感じで、自分から行くようなタイプではないと思ってた。

そのHさんと二人の夜だ。俺も自分から誘うタイプではないので、このまま清純な夜を過ごすのも悪くないと思ってた。ところが、Hさんから

「今晩どうしましょうか」

という建設的な発言。これにはほんとうに驚いた。

絶句する俺に構わずHさんは言葉をつなぐ。

「こちらの関係会社の人から、店を紹介して貰ったんですよ。もし疲れてなければなんですけどね」

なぁるほど、関係会社が良い仕事をしたわけやね。流石のHさんでも目の前に絶好のセンタリングが着たらゴールしてみたくなっちゃうわな。魔が差すってやつですか。

俺が疲れてなければ、なんてことを言っているが、行きたくなければメモを握りつぶせばいい話。まぁでもそんな野暮なことは言いっこなし。俺もたいがい従順な部下だから、こういう時には素直に流れに従う。

「いや、そんなに疲れてないですよ。折角だから行きますか」

この“折角だから”とかつけるあたりがまた、ねぇ。いやいや、日本語って美しい。

ま、そんなこんなで上海初日の夜からいきなり出撃命令が下ったのでありました。



03 : 23 : 50 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-6.だめだめ
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH06

で、俺たちには選択肢があった。Hさんは二つの店を教わっていたのだ。一つは中国語しか通じない店、もう一つは日本語が通じる店。女の子のレベルは前者の方が良いらしい。

女の子のレベルはともかく、俺にしたら前者の店しか有り得ないんだけど、そこは上司を立てなければならない。で、Hさんはどうかというと、日本語が通じる店に行きたそうな雰囲気。まぁそりゃそうだよな。言葉が通じないのでコーフンする変態は俺くらいのもんだ。じゃ、2番目の店にしましょうか。

二人でホテルの前からタクシーに乗り、店の前につける。繁華街の真ん中の道路沿い。目立たない入り口から地下に降りてゆく構造。どうも日本式のKTVというのは奥ゆかしいというか、ひそやかな店構えが多い気がする。階段を下りてゆくといきなり店員が並んで「いらっしゃいませ」の連呼。日本語だ。しかもみんな大声で。まるで居酒屋みたいだ。

この店は結構有名でネットの掲示板でもスレッドが立っている。システムは他と一緒。ママという人が出てきて料金などの説明をすると、ずらずらと女の子が入ってくる。30人程度か。前列の子はしゃがんで後ろの娘が見えやすいようにしている。

すっかりやる気が削がれている俺は、かなり適当に指名をした。完全日本語環境なので、まるで緊張感がない。駄目だよこりゃ。気合が入らないや。

女の子が隣に座って、最初に自己紹介。

「みゆきです」

だって。あり得ないだろそりゃ。どっからみても中国人だよあんたは。初っ端からげんなりする。日本語喋れてるけどひどい訛りなのだ。でも、向こうは喋れてるつもりなんだろうな。まぁ流暢だとは思っていないだろうが、まぁ話が通じるのは事実だし、日本語で接客するのも店のサービスの一環なんだろう。

しかし、夜の中国語勉強中の俺にとっては、何で金を払ってまでして下手な日本語で調子を合わせなきゃのかわからない。どうせカタコトなんだったら、俺のカタコト中国語を喋らせろってんだ。

勿論、中国語で会話しようと言えば応じてくれるけれども、会話が通じなくなりかけたらすかさず日本語で助け舟が出てくる。こっちのため、というよりも女の子の方が面倒臭いと思うんだろう。まぁ現実的に考えればその通りだ。日本語で話が通じるのに、何が悲しくて変な客のカタコト中国語のおままごとに付き合わなきゃならないのだ。特別料金でも貰わなければ割りに合わないよな。

しかし、そう考えると、中国式KTVで俺の相手した女の子はとんだ災難だよなぁ。いや、申し訳ない。まぁでも、客商売ってそんなもんだよな。



03 : 24 : 56 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-7.戦意喪失
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH07

さて、お相手をしてくれたその娘だけれども、少し歳がいってたみたいだ。

「あなた間違えたね。私みたいなおばさんを選ぶなんて。きっと暗くて見えなかったね」

明るさの問題じゃなくて、そもそも真面目に見て無かったよ。と思いながら

「何歳なの?」と聞くと
「60歳ね」
「えーウソでしょう」
「いや60歳ね」

もうそこから話が進まない。
やれやれ、どうしたものか。

ふと隣を見るとHさんがいい雰囲気だ。彼が選んだのは長身の女の子。背中がばくっと開いたドレスを着ている。ソバージュの髪ではっきりした目鼻立ちをしている。

「こういう商売だと、いろんなお客さんいるでしょ」
「そうね」
「嫌なお客さんだっているでしょ」
「もちろんいるよ」
「そういう時どうするの」

話、はずんでるみたいだねぇ。やや本音系のこの流れはいい感じじゃないですか。でも人の話を聞いていてもしょうがないよね、問題は俺の方だよ。

しょうがないのでカラオケを入れる。カラオケに来たんだから歌わなきゃね。少ない選択肢の中から歌える曲を入れると、歌ってる最中の画面がもうエロエロ。女の子がいきなり裸になって反り返ったりしている。すかさず隣の嬢(60歳)が耳元でささやく

「あなたエッチね。ワタシもコーフンしてきちゃったよ」

やめてくれよ、あんたは客が歌うたびにこの画面見てるんでしょうが。

しかし俺は何をしてるんだろう。考えてみたら昨日は北京でKTVだった。しかも連日、日式(日本式)で、げんなりしている。上司思いにも程があるってもんだ。まぁとにかく、飛行機でモノを盗まれたし、今日は厄日に違いない。

そんなこんなで、何も良い思い出がないまま上海初日の夜は更ける。



03 : 25 : 55 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-8.コメント
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH08

翌日は朝から上司のHさんと一緒に客先回り。昼にホテルに戻ってきて、昼食を一緒に食べようという話になった。Hさんはそのまま空港に向かい、日本行きの便に乗る予定だ。偉い人は忙しくって大変だよな。

ホテルの中華料理屋に入る。実は二人ともあまり食にはこだわらないたちだ。HさんはオーダーメイドのYシャツを着ているような人で、多分食べるものにも自分なりの拘りがあるのかもしれないけど、あまり自己主張はしない。メニューを見ても、どうぞお好きなものを、とか言って自分の注文はなかなかしないのだ。で、俺も食い物に対してはそんな感じなので譲り合うばかりで注文が決まらない。結局、ウエイトレスの小姐の薦めに従ってほぼ全ての皿を注文してしまった。

小姐が去り、料理が来るまでしばらく間があく。そういえばHさん、昨日はソバージュの彼女を持ち帰った筈だけど、その話は一言も出てこない。まぁそもそも昨日は俺の方がすっかり萎えまくって戦線離脱していたので、あまり自分だけ楽しんだ話をしたらまずいと思っていたのかもしれない。でも、折角の機会だし、俺のことを堅物だと思われても良くないので探りを入れてみることにした。

「昨日はどうでした」
「いや~」

とちょっと間があって

「あの娘、いくつくらいだったと思います?」
「え~、24,5才ですか?」
「22歳なんだって」
「へぇ」

でかい女って歳いって見えるんですよね、という言葉が喉元まできたがすんでのところで飲み込んだ。Hさんはそれに気づくことなく言葉を続ける。

「モデルやってたんだってさ」
「あぁ、背がすらっとしてましたもんね」

ばっくり開いたドレスの背中を思い出した。面積的には俺の背中よりも広いかもしれないと思っていたのだが、口には出さなかった。
しかしまぁ、事情を知らない人が聞いたら友達の話をしているくらいに思ったかもしれない。それほど、いやらしさの無いというか、欲望から距離を置いた話ぶりだった。いかにもHさんらしい話し方だと思った。

じきに料理が運ばれてきた。そういえば忘れてた。Hさんは食が細いんだった。180cmの痩身なHさんは、すぐに腹いっぱいになってしまって戦線離脱だ、でも、料理はというと、小姐の薦めでフルコース状態だ。昼間から死ぬ思いで平らげて、勘定をしたら、1,300RMBもとられてしまった。

まいった。昼に2万円相当食っちまったなんて、経理に何て言い訳しよう。



03 : 26 : 58 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
2-9. 蛇の道は蛇
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH09

昼食を終え、上司のHさんと別れた午後は、俺と関係会社のスタッフとで客回りを続ける。関係会社は中国の会社で社員のほとんどが中国人だ。でも、日本の客が多いので皆日本語が堪能。しかも、関西弁だ。俺の知ってる中国人だけかもしれないが、中国人に関西弁はよく似合う。

さて、そのままお客さんを招いてディナー。中国人のスタッフが通訳してくれているんだけれども、比較的俺たちのビジネスが分かっている人なので話が早い。一言、二言話すだけで意図を汲み取ってくれて、自分の言葉で相手側と会話を進めてくれる。正確性は落ちるかもしれないが、会話の流れが自然だし、相手がリラックスしているのがよくわかる。とはいえなかなかハラを割った話は出てこない。まぁこの辺はどこの国でも共通だ。

さて、ディナーが終わり、お客さんをお送りするとお開きだ。中国人チームのリーダーであるGさんがこちらにきて「お疲れ様でした」と手を差し出す。いやこちらこそ、いろいろお世話になりました。Gがさらに話す

「で、この後は何かご予定ありますか?」
「いえ、ホテルに戻るだけですけど」
「じゃぁ、折角ですのでもう一軒行きますか?」

またこれかよ!
3日連続だよ。

車に乗ってディナーを食べたレストランを後にする。横に乗ったリーダーが話しかける。かなり大柄で、恰幅も良いので広いはずの車内が狭く感じる。

「Hさんに店を紹介したんですけど、行きましたか?」

なんだ、あんただったのかよ、あのナイスなアシストは。Hさんたらもう大満足だったよ。という本音は心にしまって

「ええ、行きましたけど」

と木で鼻を括ったような回答。まだちょっと相手のは肚が読めていないので、やや警戒モードだ。

「どっちに行きました?」
「店の名前覚えてないんですよね」
「階段を下りてゆく方ですか、上ってゆく方ですか?」
「降りてゆく方です」
「じゃ、今日は上ってみましょうか」

するってぇと、中国式の方ってことじゃないですか。いいじゃない。流石、中国人。蛇の道は蛇だねぇ(意味が違うよ)。



03 : 28 : 27 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-10.中式KTV
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH10

で、向かったのが中国式のKTV。以前、北京で中式に行った時には、映画のセットかと思うほどの電飾ギラギラのド派手な外観に驚かされた。しかし今回も別の意味で驚いた。店はデパートの8階なのだ。人目を忍ぶような店構えの多い日式とはえらい違いだ。あっけらかんというか、これでいいのか?

入り口を入ってすぐに左に曲がるとエレベーターホール。普通に買い物に来ている若い男女が沢山エレベータを待っている。彼らと一緒に階上に昇ってゆく。途中で買い物客が続々と降りて、最上階が目指すKTVだ。

KTVというのは、客が望めば女の子をお持ち帰りできる風俗店だ。そんなものがデパートの上にあるというのが日本的感覚では理解しにくい。だいたい日本じゃデパートの上の方っていったら食堂街だと相場が決まってる。それが中国ときたら。。。

まぁある意味、食べるということには変わりはないんだけれども、そりゃちょっと拡大解釈のしすぎってもんじゃないか?

こっちとしては、店に行く段階でそれなりの心構えになっているので、その精神状態の中で明るい照明の下、普通の買い物客と同じエレベーターに乗るのが恥ずかしいというか、違和感がある。でも、同行している中国人チームの面々はまるで気にしている様子もない。これはやはり国民性の違いなのか。まぁ、そう考えると日式KTVのあの独特の造作は、日本人の心情を汲んだものになっているのに違いない。

8階でエレベーターの扉が開くと、そこはゴージャスな空間が広がっていた。だだっ広いロビーの受付を越えて奥に入ると沢山の席が並ぶ大ホールだ。その横に並んでいる個室も一つ一つが広い。内装もかなり金がかかっていそうだ。案内された部屋は大部屋。ソファの向こうにテーブルがあり、その上にワイングラスが並んでいる。後で聞いたら、ここは上海でも最高級クラスの店だったらしい。

リーダーがママらしき人と話をして段取りをつけている。程なく、女の子が入ってきた。皆、白いドレスを着ている。リーダーが俺に言う、

「左側から3人は英語喋れる娘です。そこから選ぶと良いですよ」

ま、人生の岐路ってやつですか。筆談小姐を貫くなら彼の言葉に耳を貸す必要はないよね。しかも、英語喋れるとか言われても、俺自身が英語全然駄目だしね。

人生の選択を迫られながら、上海2日目の夜はまだ宵の口



03 : 29 : 21 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-11.英語小姐
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH11a

結局俺は、英語が喋れる女の子を選んでしまった。筆談&中国語チャレンジをしたかったんだけれども、同行してるのがモノホンの中国人なのでちょっと気がひけたというのと、連戦の疲れで場の流れに逆らうだけの気力がなかったというのもあったかもしれない。

ま、そうはいっても俺の英語は全然使い物にならないので、英語で会話といってもかなり高いハードルなのだ。

選んだ女の子は松浦亜弥似のぱっちりした目の娘だ。ちょっと距離を置いて座り、”Nice to meet you” と挨拶する。品が良いというか、躾をちゃんとされたという感じがする娘だ。英語も上手、間違いなく俺よりも上手い。

なかなか手ごわいじゃないの。と思いながらも、これまで培った黄金パターン通りに会話を進めてゆく、まずは名前、年齢、出身と質問を続ける。名前は張だってさ。そうだよね中国人だものね。いいねぇその調子だよ。日式が続いたので、このノリには心が洗われる思いだ。

名前なんかは字で書いた方が早いので筆談になる。結局のところ、英語で話をしていても、ある程度わかる範囲が広がるだけで、わからないことがあれば筆談に戻ってくる感じだ。そういう意味では、漢字圏同士のコミュニケーションというのはかなり楽なもんだ。困ったら筆談に持ち込めば良い。そうすれば、大概のことは理解できる。

出身は福建省だそうだ。さすがに上海、小姐の出身地が北京とは大分異なる。揚子江以南の出身者と話をするのは初めてだ。少林寺って知ってる?と聞いたら知ってるとのこと、福州少林寺というのが地元にあるから当たり前か。やや無骨な話題から徐々に会話が始まってゆく。

見ると右手の拳が赤黒い。実は少林拳の達人で、これは拳ダコですなんてことだったらどうしようと思って恐る恐る尋ねたら、自転車で転んであざになっているんだそうだ。いいねぇ自転車。バイシクル!

中国だなぁ(しみじみ)

幸せだよボクは




SH11b



03 : 31 : 11 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-12.怒られた
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH12

ちなみに、福建省の女の子の性格は、「家庭と仕事を上手に両立できる。経済面では質素倹約型」なんだそうだ。自己紹介からいつものパターンに。相変わらず、何を知ってるとか、どこに言った的な話を続ける。でも、英語の方が中国語よりもよく喋れるので、若干このパターンでは物足りない感じだ。

彼女は英語学校に通っているらしい。どうりで流暢な訳だ。携帯電話の番号とメールアドレスも教えてくれた。中国語じゃなくて英語なのでもっと喋れるはずという気もするし、それを考えればぎこちないことこの上ないのだが、どうやら嫌われずに済んだみたいだ。

そうこうするうちに2時間弱が経過した。彼女がトイレに行くと言って席を立つ。その間にリーダーが俺の方に振り返って

「そろそろお開きにしましょう。小姐を持ち帰りますか?」

何となく雰囲気が気に入っていたので

「じゃぁ、そうします」

と返す。リーダーはしばらくママと交渉していたが、再度こちらを振り返り。

「すみません、彼女は持ち帰りできる娘じゃないみたいです。持ち帰りたいなら他の娘に変えますか」

この辺が中国人だ。確かに理屈は通ってるんだけど、もうちょっと言い方配慮してくれよ、みたいな感じ。俺の方も別に持ち帰りが目的ではないので、変える必要はないと答える。でも、なんだか釈然としない気分だ。トイレから戻ってきた彼女に思わずぼやく。

「ごめんね、連れが持ち帰りできるかなんてことをママに聞いて断られちゃったよ」
「ひどいこと言わないでよ。私はそんなことはしないわ」

彼女は俺の言葉に憤慨した。あーもぅ、何だか踏んだりけったりだよ。
思わず言い訳をする俺。

「I’m sorry.But I did it, because I like you.」
「。。。。」

(あ、これは効きましたよ)

もし俺たちのことがTVで実況中継されてたら、解説の谷川さんがきっとこう言ったに違いない。それほど明確なリアクションだ。彼女は一瞬絶句してこちらを凝視している。そうだった。中国の小姐って、こういうストレートなリアクションをするんだった。まるでマンガみたいだが、この流れは北京でも覚えがある。

しかし今回は逆に俺の方がその雰囲気に耐えかねて口を開いた。

「ま、とにかく悪かったよ」

この辺の詰めの甘さに連戦の疲労が垣間見える。結局、KO寸前まで追い詰めながらも決めきれず、やや複雑な気持ちで一人、店を後にした俺だった。


03 : 32 : 10 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-13.上海残留
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH13

ホテルに帰ってエレベーターホールへ。閉まりかけの扉を開けて中に滑り込むと、中に男女が立っていた。年配の日本人と、若い小姐だ。明らかに連れなのに、微妙な距離感がある。ははぁ、お持ち帰りあそばされましたか。けっ。おめでたいこった。こっちは散々だってのに。と、心の中で毒づく俺だった。

さて、予定ではこのまま翌朝一番の便で日本に帰るはずだったが、部屋でメールをチェックするとこちらの支社の人間から、打合せしたいから週明けまで残れ、との指示。何の打合せだよと思ったが、もう夜中なので確認のしようもない。しょうがないので飛行機のキャンセルだけをして床についた。

***

翌朝。メールをくれた中国人のYに電話。といっても中国語じゃなくて英語だ。とりあえず今日からの宿泊場所を確保しなければならない。Yが土地勘のあるところで手配をしてくれたのだが、ホテル名を聞くのが大変だ。英語の会話なので英語名称はわかるのだが、それではタクシーの運転手に伝えられない。彼らには紙に書いて見せればいいのだが、そうなると、中国語でどう書くかがわかっていなければならない。でも、英語の電話でそれは至難の業なのだ。

結局、ロビーまで降りて、フロントに電話を代わってもらい、中国名をメモってもらった。そのメモをタクシーの運転手に見せて、移動。

着いたのは小綺麗な建物。部屋に入ると無茶苦茶広い。リビングにベッドルームが二つ。風呂とトイレも二つある。キッチンもあるけど、冷蔵庫には何も入っていない。そこはホテルじゃなくてウイークリーマンションのようなものだった。でも明らかに一人用じゃない。いきなりの予約なので部屋がなかったのかもしれない。四つ星、五つ星ホテルよりは安いかもしれないが、それでも結構な値段だ。

窓を開けると暖かい空気とともに外の雑音が入ってきた。ひっきりなしにクラクションが鳴っている。4月上旬の暖かな空気が風に乗って部屋の中をかけめぐる。なかなか気持ちが良い。

何となく明るい気分になりながら、荷物をほどき、Yに報告の電話。無事チェックインしたよ。いい部屋なんだけど異常にでかいぞ。2泊の予定だと言ったのに、ベッドルーム2つと勘違いしたのかな。とふざける俺に、まぁいいじゃないか、とりあえず夜になったら呑みに行こうと言って電話を切るY。

もともと週末残ることにしたのは打合せがあるって話だったのだが、完全にその話はどこかに消えてしまっている。


03 : 33 : 04 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-14.夜の帝王
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH14

夜まで時間があるので、散歩に出ることにした。ぶらぶら上海市内を東の方に歩き出す。北京に比べて随分狭いというのが第一印象だったが、歩いて回る分には丁度良い大きさだ。

ゴミが落ちてたり、道路に露天みたいなものが出てたりと、ごちゃごちゃしているところはあるが、建物が洋館風で良い雰囲気を醸し出していて、殺風景な雰囲気ではなく、なかなか居心地は良い。アパートの窓から長い物干し竿が突き出ていて、そこに洗濯物が翻っている。香港映画で見たような風景だ。やっぱり北京からかなり南に来たのかなぁ。

てくてく歩いているうちに外灘に着いてしまった。
ホントに狭い街だよな。

雲行きが怪しくなってきたのでホテルに戻り、軽く飯を食って、部屋でビール片手にテレビを見ながら電話を待つ。夜9時過ぎ、Yから電話が入った。子供を寝かしつけることにようやく成功したみたいだ。これからは大人の時間ってわけだ。

ホテルのロビーで待ち合わせしよう、という話なので身支度をして階下に下りる。

ロビーでYと落ち合い、二人でホテルの前からタクシーに乗る。夕方から降り始めた雨はいまや大降りになってきている。最初に行ったのは瑞金一路の傍にあるバーだ。ここは外人向けのバーが沢山あるということで知られている通りらしい。

タクシーが止まると、Yは財布の札を捜しながら「发票」と大声で言い、「给我」と付け足した。ほほぅ、そういうんですが現地の中国人は。心の中でメモを取る俺。

バーに入り、小瓶のビールをそのまま右手に握って口に運びながら作戦会議だ。

「で、今日はどこに行く?KTVか、サウナか、それともここで調達するか」

出てくる選択肢が実に男らしい。もう初っ端から直球勝負だ。

「ここで調達できんのかよ」

と聞くと、解説してくれた。こういうバーでは所謂個人営業の娼婦がいるらしい。

「たとえば、」とYは言って顎をしゃくってみせた。
「あのカウンターの向こうにいる女はavailableだ」
「へぇ~」
「あんまりじろじろ見るなよ、寄って来るぞ」

とはいえ、それはあまりにもいきなりだ。サウナっていうのは日本でいうソープみたいなもんだけど、それもヤルだけ。どっちかというと、北京で慣らした経験をもとに、小姐とおしゃべりしたい。

「KTVがいいな」と言うと、
「よしわかった、任せとけ」

昼間の仕事の100倍くらい頼もしく見えるYが、自信たっぷりに言い切った。



03 : 34 : 41 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
2-15.中式享楽
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH15

ビール1本だけで勘定を済ませ、土砂降りの中タクシーを拾ってKTVへ。Yのコネのある店らしい。店のママともう5年以上の付き合いなんだそうだ。最初に会った時に相手はKTV girl で、その後出世してママになったんだと。とはいっても、最近ご無沙汰だったらしく、電話の話が長い。と、タクシーが大きく向きを変えた。聞いてみると、最近店を移ったらしい。

かなり走った後でタクシーがようやく止まる。街の中心部から外れたところらしく、ネオンが少ないが、そのビルだけ煌煌と輝いている。相変わらず中式KTVは派手目の造りだ。

店の中に入って部屋に案内される。昨日行った店に比べれば大分質素で安そうな感じだ。ママが出てきてYと挨拶。欧米系のノリで大げさに抱き合って再開を喜んでいる。俺も紹介されたが、正直何を言っているかはよくわからない。

次いで、小姐が入ってきた。ずらずらと、ではなく5人だけだ。気に入ったのがいなければ、次の5人がまた入ってくるという具合だ。2巡目でいい感じの娘がいたので指名。

北京で大分自信をつけているので癒し系の安全牌ではなく、可愛い系の小姐を選択だ。穴あきジーンズを履いてる。そういやぁ今までのKTVは女の子がドレスを着てたけれど、この店はかなり普段着っぽい。いろんな店があるもんだ、というか、中国人しかいかない店だとこうなるのか?確かに、ドレスを着せるなんてのはコトの本題とまるで関係がないから、合理的な中国人が価値を認めるとは考えにくい。

俺の選択を見てYが唸った。が、次の瞬間はっと気づいた様子で待ったをかける

「彼女は英語喋れないけどいいのか?」
「問題ないよ」
「ほんと?」
「大丈夫」

お前な、心配してるっていうよりも、自分で指名したかっただけじゃないの?

まぁとにかくYを納得させると、女の子が俺の横に座る。まずは挨拶、そして自己紹介。さて、北京での特訓の成果を見せるときだ、いざ見参。ようやく上海を味わう日が来たぜ。

Yの方はなかなか小姐が決まらない。5~6巡しても駄目で、そのまま外に出て行ってしまった。5分くらいしてから、一人の小姐の手を引いて戻ってきた。聞くと、小姐の控え室まで乗り込んでKTVにいる全員の中から選んできたのだという。

「すごかったぜ」

Yが目を輝かして言う

「まるで動物園だ」



03 : 35 : 36 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-16.へべれけ
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH16a

今まで何度かKTVに行ったけど、皆、小姐を指名した後はツーショット状態で互いの会話なんてほとんどなかった。でも、Yは全然違うノリなのだ。俺が中国語喋れないということで気をつかっているのかもしれないが、とにかく、二人だけにしない。四人一緒に盛り上がろうと、いろいろ絡んでくる。

最初に乾杯。カンペーイとかいって、グラスを干さないと怒られる。そういうノリかよ。しばらくすると、サイコロゲームしようとお誘いがかかる。全然会話ができやしない。サイコロゲームは対戦式だ、俺とYが対戦し、それぞれ小姐が加勢する。負けるとグラスのビールを一気飲みしなきゃならない。これはかなりきつい。何しろ回数が多いのだ。

後半になってくると、だんだん皆必死になってくる。俺が指名した小姐は、相手の目を盗んで酒を床にこぼしてカーペットに染み込ませた。で、すかさず飲み干した振りをしてみせる。プロの技として聞いたことはあったけど、実際に見たのは初めてだ。しかし、それも納得できるほどのクレイジーな飲み方だ。ったくもう、学生コンパじゃないんだから。

その店のシステムは中国の一般的なシステムで、客は、酒代と場所代とチップを払う。チップは小姐が全額受け取り、場所代はママの稼ぎになる。酒代は店の稼ぎというわけだ。それぞれ全く別個に回っているので、小姐やママは客が酒を呑もうが呑むまいが気にしない。自分の収入に関係ないからだ。

そんな中で何故Yがそういうノリに走ったかというと、俺を気遣ってのことなのだ。彼いわく、中国語が喋れない俺が楽しめなくてはよくないと。いやぁ、申し訳ないけどそいつは余計なお世話ってもんだ。お前さん俺のこと全然分かってないよ。でもまぁ、結果的には結構楽しかったけどな。

2時間弱経過する頃には、一同ひどい酔っ払いになっていた。タバコの煙ももうもうと室内に立ち込める。酒と煙草と女という、オトナの遊びの3点セットを充分楽しんだところで、そろそろお開きにしましょうか。
と、Yがなにやら交渉中。

「持ち帰れるように交渉したからな」
「ええっ?お前どうすんだよ、家に家族がいるだろ」
「大丈夫だ。お前の部屋にはベッドルームが二つあるんだろ」

こらこらっ!そりゃまずいだろっ!




SH16b

03 : 36 : 47 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-17.乱痴気
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH17a

KTVにはいろんな客が来る。後日、KTV小姐にどんな客が嫌な客かと聞いたら、機嫌の悪い客や気難しい客が嫌だ、との話だった。しかも不幸なことに、それなりの確率でいるらしい。考えてみれば鬱憤を晴らしにKTVで女でも抱くか、みたいな客は結構いるのかもしれない。

そんなわけで、気のいい外国人を演じ続ける俺は、このKTVでも結構気に入られたのだった。今後は一人でもいいから来てくれと言う。そんな無茶な。でも、彼女らにしてみれば、気難しい客よりかは、言葉の通じないけど気のいい客の方が余程いいらしかった。

そんなこんなでふとYの方を見ると、ママとの肩を抱きかかえて耳元で何かささやいている。そういえばYとママは旧知の仲なのだ。久しぶりに会ったということで積もる話もあるんだろう。でもしばらくして小姐が着替えて戻ってくると、さ、行こうかといって立ち上がった。

この状況で平気で他の小姐を持ち帰るYは凄いと思った。というか、Yの問題というより、中国人がそうなのか?

どうもこのYといい、最初に俺を中式KTVに案内してくれた協力会社のGといい、この種の風俗に対して明確な割り切りがあるように思う。欲望を欲望として割り切り、それを処理するための手順を極めて合理的に組み立ててゆく。この辺の感覚は、どこまでもじめじめとした情愛を求める日本的感覚と異なるところかもしれない。

そんなこんなで、俺とYと小姐の2人、そしてママの5人で店を出てエスカレーターを降りて玄関口へ。タクシーが既に待機してる。1台だけだ。俺たちは男女4人なんだけど、4人とも後ろの座席に乗り込んだ。俺とYが座って、その膝の上に小姐が腰を下ろす。で、レッツラゴー。

おいおい、大丈夫かよこんなの。

運転手が怒り出すんじゃないかと冷や冷やものだったが、何も言わない。一方、Yと小姐2人はもうノリノリだ。きゃぁきゃぁ大盛り上がりでタクシーの後部座席で騒いでいる。中国人はラテン系だと評した本があったけれど、なるほどそうかもしれないと、この時思った。

タクシーがホテルに着く。こんなド派手な登場をしてホテルマンが目を剥くんじゃないかと思ったが、何も言わない。それどころか、先に下りたYが笑いながらホテルマンの背中を叩き、言葉を交わしている。

確かに異常だけど、ここまで行くと非日常を心行くまで楽しんだ感じがする。

そして、上海の街はこんな俺たちに対して案外優しかった。



SH17b

03 : 38 : 21 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-18.クレーム
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH18a

4人でエレベーターに乗り込み、宿泊している階まで上がる。かなり酔いが回っていて皆足元が覚束ない。ふらつきながら部屋の鍵を開け、中に入る。

「おっし、俺たちはメインのベッドルームを使うからお前らはサブのベッドルームを使えよ。バスルームとトイレも別々になってるからな。お前らのはここだ」

英語でYに説明をする。で、部屋に分かれて扉を閉めた。

早速シャワーを浴び、事を始める。しかし相当酔っていたようだ。途中でトイレに行きたくなった。一段落するまで我慢できるかと思ったが酔った時の尿意はどうにもならない。そもそも相当量のビールを呑んでいるのだ。

「我要去手洗間」

と言ってトイレに行く。長いトイレの後、部屋に戻ると、小姐が下着を着けはじめていた。おいおい、そりゃないだろ、まだ終わってないよ。
小姐の肩をつかみ、文句をつける。

「我没満足了」(俺はまだ満足してないぞ)
我支付你。你要我満足」(金は払ったんだ。満足させろ)

“満足”という言葉は北京時代に調べて言葉だ。辞書で調べて当時の彼女に言ったら笑われた。あんまり使わないみたいだ。その後使わなかったが、この時になって思いついたのがその言葉だった。

言いたかったのは「ちょっと待ってよ、まだ終わってないでしょ」という程度の軽いニュアンスなんだったのだが、結果的に物凄い強面な文章になってしまった。

彼女は黙って俺の指示に従った。下着を脱ぐと、俺の身体をまさぐり始める。でも反応しない。そもそも相当酔っているのだ。俺もとっさに意地を張っただけで、正直、持ち帰りなんかするよりもさっさと眠ってしまいたいところだった。

「無理よ」彼女が泣きそうな声で言った「あなたお酒呑みすぎたのよ」。酔っていて彼女が中国語で何と言ったか覚えていないが、確かにこういう意味のことを言った。そこで始めて彼女が怯えていることに気がついて、あわてて彼女を抱き寄せて。

「不要(もういいよ)」と言う。そして、機嫌をとろうと
我要你的手机号码,可以吗?(携帯の番号教えてよ)」と水を向けた。

途端に泣きそうだった小姐がノリノリに戻った。差し出した手帳にバカでかい字で名前と電話番号を書くと、いたずらっぽい目で俺を見上げながら「いつ電話くれるの?」と問いかけた。

何という感情の変化だ。

全く、こいつらときたら、まるで子供みたいだ。


SH18b

03 : 39 : 31 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
2-19.後始末
2007 / 02 / 09 ( Fri )
SH19

携帯番号を教わったところで、ドアをノックする音がした。Yが待ちきれず催促したのだ。

ネットの掲示板で、中国人は早い、というのを聞いたことがある。入れたら1~2分なんだそうだ。ホントかどうか知らないが、確かにYのノックは日本的感覚からすると異常に早い段階での催促だった。

「今いくよ!」

と怒鳴って、二人で服を着る。部屋を出るとYが扉の向こうで煙草を1本吸う終えるところだった。

じゃ、本当にお開きにしますか。という感じで俺以外の3人が帰り支度に入る。俺の小姐が

「月曜日よね」

と念押しをしてくる。いつ電話くれるか、との問いに取りあえず月曜日と答えたのだった。そうだとうなづくと、約束よ、とばかりにキスをねだる。軽く応じるけど、あーあ、Yの目の前だよ。

Yが「何の話だよ」とばかりに小姐に声をかける。

「つーか、俺にもキスしてくれよ」

といった風にジェスチャーで口を尖らせる。この辺が文化の違いだよなぁ。お前はお前の小姐がいるだろう、と思ってしまう。

でも、小姐は「だ~め」とばかりに何事か言って大声で笑う。何だか携帯番号を聞かれたのが相当嬉しいらしい。まるで俺の女にでもなったかのような立ち振る舞いで、Yとの会話を楽しんでいる様子だ。多分、Yもわかってわざと話題を振ったんだろう。

Yが中国語で何事か小姐に聞く。と小姐が視線を合わせずに「没有」と答えた。ん、ヤってないことを言ってるのかな?何でそんなこと聞くんだろう。もしや、何で小姐がウキウキ気分なのか探りを入れてたか?ということは、中国人のYから見ても小姐のハイテンションは異例だということかもしれないな。

なんだかんだでYと小姐たちを送り出すと、部屋が急に静になった。
だだっ広い室内に俺一人だ。

何となく酔いも醒めてきたので、そのまま彼らの残した吸殻やビールの空き瓶を片付ける。Yに貸したベッドルームに入ると、ベッドは全く乱れていなかった。あれ?結局やつも何もしなかったのかな?

ふと見ると、ベッドサイドのテーブルに使用済みのあれが放置してあった。

あ~~、間違いなくやってますねこれは。

っつーか、片付けて帰れよこういうものは。



03 : 40 : 22 | 筆談小姐2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。